膝が伸びなくて悩んでいるダンサー達へ

ダンサーから「膝が伸びなくて悩んでいます」という声を多く聞きます。   その後の言葉は大概、 どんなストレッチが効果的ですか?   確かにストレッチが必要な時「も」ありますが、まずは 膝が「伸びない」のか? 膝が「緩んでしまう」のか? を理解しなければいけません。 まずは下の質問に答えてみましょう。 パラレル+両足で、ターンアウトせず立った時に“意識したら”膝を伸ばせますか? YES=踊っているときに膝が「緩む」人 NO=膝を「伸ばす」練習が必要な人   自分がどっちなのかが分かったところで、理論的に解決策を探していきましょう! 膝が緩む人 この人達に必要なのはストレッチではありません。 だって伸ばせるんだから。   軸足の強化して、片足で立つ力をアップすることで緩まない軸足作り 骨盤の安定を作ることで、骨盤ー床との距離を作ります(床と骨盤が近かったら、膝を曲げて「しか」立てないから)   *強化していないのに、ストレッチばかりしていたら、古いゴムみたいにユルユルになっちゃう。 つまりもっと膝が緩むチャンスを作っちゃうことになります。   意識したら伸びるけど、踊っていると膝が緩む 気をつけていれば出来るけど、レッスン中に緩んできてしまう人は、柔軟性ではなく運動神経の問題。   レッスン中に意識し続ける 無意識に出来るところまで反復練習…

Continue Reading膝が伸びなくて悩んでいるダンサー達へ

膝の調子がイマイチな時のエクササイズ

今週のDLS教師のためのセルフケアスペースは、膝の調子がイマイチな時に、椅子に座ったままで出来るエクササイズをご紹介します。   膝だけでなく 股関節(おしり系) ふくらはぎ 足首系 のケガをしている人で、立って行うエクササイズが難しい人でも使えますよ。 (ただし、体の声を聞いて無理せず、やりたくないものは飛ばしてね!)   このエクササイズは治療やリハビリ用ではありません。 あくまでも、ケガで100%動けない人でも出来るエクササイズをご紹介しています。 ケガの場合は無視せず、専門家に診断・治療してもらってくださいね。   *イントロビデオを見ていない人は3分弱なのでこっちを先にどうぞ。 エクササイズリスト 椅子ロールダウン 椅子ロールダウン+バックエクステンション 椅子左右バランス変形型 内転筋エクササイズ 椅子スクワット 椅子スクワット2番ポジション 椅子ハムストリングストレッチ 椅子ハムストリングストレッチ+胸椎回旋   このビデオが役に立ったよという人は、ほかのバレエ仲間に教えてあげてもらえると嬉しいです。   このようなエクササイズをスタジオ内で様々な年齢や体の生徒たちに安全に取り入れたい!と考えている方へ。 DLSのインストラクターコース、ただいま第二期生が日々エクササイズやバレエ解剖学について猛勉強中です。 第三期の募集は2023年以降になりますが、情報解禁になったら連絡が欲しい、という人はhello@dancerslifesupport.comに「インストラクターコース情報希望」とメールを送ってくださいね。  …

Continue Reading膝の調子がイマイチな時のエクササイズ

オスグッド中のバレエレッスン

  成長痛の話から、成長痛ナンバー1のオスグッド病について書きました。 ケガの原因が、成長期に無駄に負荷がかかるから起きる という事で、 正しいテクニックの練習が必要だからレッスンを休まなくても大丈夫! という事が分かった。   でも、実際にバレエの先生に相談したら 「痛くないところまでやりなさい」 もしくは 「座ってみていなさい」 になってしまうと思うのね。   この記事では実際に、具体的に、レッスンの時はどうしたらいいのか? を先生向け(=レッスンプランを作る人向け)に書きました。   ただ、全てのバレエ教師がDLSを読んでくれている訳ではないですから、 自分で自分の体を守るためにも、ダンサー自身の知識としても大事だと私は思います。 だって、貴方のケガのためにレッスンを中断していたら、 他の子は嬉しくないですものね。   年齢に関係なく、膝の痛みがある人も同じようにレッスンを変更する事ができます。 膝の手術後 膝蓋骨亜脱臼 半月板、ACL系のケガ 関節炎 などの人はメモしながら読んでくださいね。   レッスン内容の前に見直してほしい事は、こっちの記事で書いてありますので、 そちらを先に読んでください。…

Continue Readingオスグッド中のバレエレッスン

ダンサーのケガ オスグッド病

  成長痛について書いた記事で、ちらっとオスグッド病、という名前が出てきましたが、今日はその子にスポットを当てていこうと思います。 なぜかって? そのケガをしている生徒を持っている先生から相談されたからさ。   *メールで、個人的なケガについてのご相談は受け付けておりません。私は日本での資格がありませんので、法律的にも無理なのよ、分かってね。 教師が知っておくべき成長痛についてはライブラリでもカバーしています。 成長痛のまとめ 成長痛の記事は、成長期のダンサー、成長痛ですねと診断された人、そして成長期ダンサーを扱う先生方すべてに読んでもらいたいマストリードなブログです。 成長痛というケガはない 成長するから痛いのではなく、成長期に「負荷」がかかるから痛む 年齢に見合ったテクニックとレッスン内容の見直し という3点は、この前の記事のまとめとして再度、頭に入れておいてください。 オスグッド病とは? これは、正式にはオスグッド・シュラッタ―病(症候群・シンドローム)といわれるものです。 名前で見ると難しいね。 発見した人が2人いるらしくて、二人の名前をくっつけたらしいよ…   超!簡単に説明すると、 大腿四頭筋がついている脛のところが、 (膝のお皿の下にあって、でっぱってるとこ。お膝立ちバレエポジションで痛くなる場所ね) 成長中で、まだ固まりきっていない骨(成長軟骨。この前の記事でも説明済み)を引っ張るため でっぱりが、どんどん出っ張ってくる でっぱりの炎症 でっぱり付近の骨膜炎症 となって痛みがでます。 最悪、剥離骨折まで進みます。   でもね、骨の問題だけでなく、 大腿四頭筋を骨にくっつけている腱の炎症だったりもするので診断が必要です。…

Continue Readingダンサーのケガ オスグッド病

反張膝の育て方

先に言っておきます。 題名はSarcasm、つまり皮肉です。 育てちゃダメです。   でも、この題名で引っかかった子達のバレエ人生(そして人間としての残りの人生)をHappy Dancingにするために、あえてこのままで行きます。   なーんだ、だったら読まない、って思った人。 それでもいいです。 でもね、ダンサーとして致命傷になるという事だけ知っておいてください。   よーし聞いてやろう、と思った方。 さっそく行ってみようじゃないか!   反張膝とは? 反張膝(はんちょうしつ)って何かわかります? バレエX脚とかっていうやつね。 膝が伸びすぎる事で、過伸展(かしんてん)とも言います。 関節が伸びすぎるということは、膝だけに起こるのではなく、ほぼすべての関節で起こり得る事。 代表的なのが反張膝、膝の過伸展。 次によく見るのは、サル腕。肘の過伸展。 指が後ろに反る子とかさ、いろいろな関節であるんだよね。   反張膝は”普通”じゃない いろんな関節で起こるんでしょ? だったら普通じゃないの?って思うよね。   普通じゃないんだよ。 私も、友達もあります≠普通 だからね。 バレエスタジオに通う子達はそういった体の子達が残りやすいから、結果として「普通」に見えてしまう事があるから十分注意が必要。…

Continue Reading反張膝の育て方

アラベスクで軸のひざが緩む子

ちょっと前に、「軸のひざが緩む子」というテーマでデヴァンの軸のひざが緩む子について説明してみました。 途中で飽きたんだけど笑 FBコメントで続きを!という声を戴いたので頑張りました! →パート1 →パート2   そこでは、ただ、ひざ裏を伸ばしなさーい!じゃないところにヒントが隠されていて、 軸のハムストリングが硬い ひざ裏が硬い 軸足のヒップフレクサーが硬い 軸足の大腿四頭筋が硬い 軸足の大腿四頭筋が弱い 骨盤が引きあがっていない 骨盤がコントロールされていない 膝を伸ばす感覚が分かっていない とこーんなに長いリストの原因があるかもしれないよーとお話しました。   今日はアラベスク(デリエールポジション)で同じ事を見ていきましょう。   デヴァンVSデリエール なんでデリエールポジションは別に書かなければいけないか?というと骨盤の動きが全く違うからです。 デヴァンの時、骨盤は少し後傾、つまりタックちゃんになります。 デリエールの時、骨盤はかなーり前傾、つまりダックちゃんになります。   これはね、骨盤ってひざの動きにすごく影響を与えるンですよ。 まぁパート1と2に分けてこの前細かく説明したから大丈夫かなとは思うのですが、簡単に(解剖学抜きで!)説明すると ひざかっくんをしてみよう!になります笑   ひざかっくんするとさ、骨盤後傾するでしょ? つまり、ひざにつられて、坐骨が前に抜けて、お尻が後ろにさがるっていうのかな? 分かんなかったらひざかっくんしてみましょう笑…

Continue Readingアラベスクで軸のひざが緩む子

軸のひざが緩む子の特徴 その2

デヴァンで軸のひざが緩む子について研究しているシリーズの第二弾です。(第一弾はこちら!) この前は、膝が曲がっているからっていって、「ひざ裏を伸ばしなさい!」「ハムストリングスを伸ばしなさい!」だけでは上手くいかないよ、って話をしました。   んでもって、よく見られるリストを制作し、それらのポイントを研究している最中です。 リストはこちら (あまり起こらない可能性から一番よくあるものの順番で)   軸のハムストリングが硬い ひざ裏が硬い 軸足のヒップフレクサーが硬い 軸足の大腿四頭筋が硬い 軸足の大腿四頭筋が弱い 骨盤が引きあがっていない☆ 骨盤がコントロールされていない☆ 膝を伸ばす感覚が分かっていない☆ ☆マークがついているもの、軸の膝が曲がってしまう原因トップ3はその1、でお話しています。 今日はその続きを見ていきましょう。 軸足の大腿四頭筋 これが硬いと、そして弱いと(注:弱い筋肉は硬くなりやすい!)軸のひざは伸びません。 だってこの子が「膝を伸ばす筋肉」よ? つまりさ、この子がうまく働かない状況だったら、膝を伸ばすスペースがあったとしても(前回見たポイントを思いだして!)伸ばす動きをする筋肉がないって事になりますから。   特にここで必要なのはVMOちゃんだと何度も言ってきました。 この部分は教師のためのバレエ解剖学でもう少し詳しくお話していくんだけど、今知っていてほしいこと、もしくはダンサーのみんなが知っておきたい事は、 VMOちゃんは膝を伸ばす、着地を安定させる、軸の強さを作る時にはとっても大事だよ!って事で。 そしてVMOちゃんの位置にも注目してね。(詳細、イラストはこの記事で) 内側、そして膝に近い方だもんね、股関節の前をぎゅーっとすることではないし、太ももの外側でもないよ。 軸足のヒップフレクサーが硬い ヒップフレクサー=ヒップをフレックスする子達=股関節を屈曲させる子 ジェスチャーレッグの時はこの子達が一生懸命働いて脚を前に挙げてくれています。…

Continue Reading軸のひざが緩む子の特徴 その2

軸のひざが緩む子の特徴 その1

バーだろうが、センターだろうが。 軸のひざが緩む子っていますよね? 緩むっていうと分かりづらいかな?曲がってしまう、何となく伸びきっていない、ってやつね。 アダージオが一番わかりやすいですが、それ以外のポジションでもたぶんなっています。(早くて見えないだけかもしれないけどさ) 膝については多くの質問をもらっているけど、DLS記事にしていない部分なので今日はその問題について答えていきたいと思います。   ストレッチすれば膝が伸びるんじゃない! 膝が緩む、曲がる=ひざ裏を伸ばせばいい=ハムストリングスをストレッチ ではないんですよ。   っていうかね、実際にひざ裏が硬くてひざが曲がるケースは少ないし、 デヴァンだったら(そしてこのポジションが一番曲がりやすいと思うんだけど?)そうじゃない事が殆ど。 だからね、そう安易に考えないでくださいよ! 長くなっちゃうので、今日のブログではデヴァンの場合だけ見ていきましょうか。 (といいつつ、これ自体もパート1と2に分かれてしまった…)   ひざ周りの筋肉 確かに大内転筋(うちモモの筋肉と呼ばれる内転筋のひとつ、一番おおきな奴!)もひざの動きに関与しますが、ここでは一番メインになっているやつら、大腿四頭筋、ハムストリングの関係を再度復習をしていきましょう!   大腿四頭筋=ひざの伸展&股関節の屈曲(低い位置で) ハムストリングス=ひざの屈曲&股関節の伸展 だったね。 この筋肉たちについては既に記事にしていますし、この関係性と骨盤で関係する動き、っていうのも書いてあります。 まだ読んでいない人はそっちをみてね。   さてさて。 大腿四頭筋=ひざの伸展&股関節の屈曲(低い位置で)=ひざを伸ばし、(デヴァンの方へ)股関節を曲げる筋肉 ハムストリングス=ひざの屈曲&股関節の伸展=ひざを曲げ、(アラベスクの方へ)股関節を伸ばす ってことです。  …

Continue Reading軸のひざが緩む子の特徴 その1

ダンサーが知っておきたいO脚

2016年だったかな?の教師のためのバレエ解剖学講座で、参加者からO脚全員を選んで立ったことがありました。 誰が一番ひどいO脚か?っていうのを見るために笑 そしたらね、私が一番ひどかった!!   ということで、私自身も悩み多きO脚とターンアウトについてお話ししていきましょう。   O脚にも種類がある? ただO脚、といっても色々な種類があるってご存知? 生理的(つまり人間の成長で必要な過程)から、病気(栄養失調からくるもの)などまで。 だから、そう簡単に「あなたはO脚です」って言わないで下さいね。   O脚、解剖学では内反膝、といわれるこいつは「左右の内くるぶしをそろえても、左右のひざの内側が接しない脚の形」を指します。 みんなが考えるのはドーナツみたいに脚の真ん中があいているやつ。   大腿骨が内旋、膝が内反→ほとんどの日本人O脚がコレといわれている 大腿骨はまっすぐ、膝が内反、脛骨の変形→参考書にはあるけどみたことない笑 膝が内反な上に、過伸展→ダンサーによくある 膝が内反、足首が内反→私のパパはこれ。 膝が内反、足首が外反→私はこれ。 … リストはどんどん増えますが、 膝関節=大腿骨+腓骨、脛骨であると考えると、 膝の変形(ケガもそうだけどね)には、股関節や足関節はもちろん、 股関節=骨盤の骨たち=背骨に影響 足関節=足にある関節たちすべてに影響 も出てくるわけです。   だからね、O脚だからこれやりなさいよ、とか、このスリッパをはけばよくなります、っていうのはない。 だって原因がどこから来ているか?も違うんですもの。  …

Continue Readingダンサーが知っておきたいO脚

ダンサーの膝の痛みの救世主 VMOちゃん 内側広筋について

  VMO(ビエモ)って言葉を知っていますか? なんだか可愛いでしょう? ELMOみたいな感じ?   これって実は筋肉の俗名、あだなです。 どの部分でしょうか?   (音声で聞きたい人は一番下へ。ポッドキャスト・Youtubeで再生できます。)   題名みたらわかっちゃうからクイズではないですね。 これは内側広筋(ないそくこうきん)と呼ばれる、大腿四頭筋のひとつである筋肉のあだな。 覚えていますか? 大腿骨の周りにある筋肉グループのひとつである大腿四頭筋のひとつ。     内側広筋を英語で言うと、Vastus Medialis,またはVastus Medialis Obliqueと言います。 なので頭文字をとってVMO、ビエモちゃん!   って訳です。   この筋肉、とっても、とっても大事な筋肉です。 が、大腿四頭筋の一部であるため嫌われ易い子でもあります。 今日はVMOちゃんと仲良くなること、そして彼らの仕事を知ることが目的です。 (筋肉を固めないで使う、っていうシリーズで説明した通り、大腿四頭筋をスイッチオフして踊れませんよ!)    …

Continue Readingダンサーの膝の痛みの救世主 VMOちゃん 内側広筋について